お酒をメインとして提供するバー(bar)を開業するにあたっては、飲食店営業許可の他、深夜酒類提供飲食店営業営業開始届出書を警察へ提出する必要があります。
飲食店営業許可は保健所、深夜酒類提供飲食店営業は警察署がそれぞれ管轄しています。
飲食店営業許可だけであればそれほど難しい手続きはないのですが、深夜酒類提供飲食店営業開始届はやっかいなのでご相談いただくことがあります。
ここでは、バーを開業する際の手続きについて開設していきたいと思います。
アロー行政書士事務所ではバー開業に伴う各種行政手続きを代行・サポートしております。お困りであれば気軽にご相談ください。
はじめに:物件を借りる前に用途地域の確認と内装工事をする前にしっかりと施設要件を確認してください
バーの開業の手続きを進めていく中で、そもそもバーを開業できるエリアでないというケースや開業できる地域であったとしても施設設備等が要件を満たしておらず、内装工事を一部やりなおさなければならないことが発生することがあります。
バーはどこでも開業できるわけではありません。また、内装にもルールがあります。
内装に関しては、基本的に内装屋さんは慣れているのでおかしなことがあれば気が付くとは思うのですが、そうではないケースや細かなことまで頭に入れていないケースは多いため、図面等ができた段階で問題が無いか一度慎重に確認いただければと思います。
はじめに前提となる注意点を記載させていただきました。
それでは、バー開業に伴って発生する手続きについて見ていきたいと思います。
バーの開業に必要となる行政手続きの全体像
一般的なバーを開業するにあたり、必要な手続きは以下です。
- 飲食店営業許可手続き(保健所)
- 深夜酒類提供飲食店営業営業開始届(警察署)
- 防火管理者専任届出等消防関係(必要に応じたもの)
ここでは、基本的に1と2の手続きについての解説がメインとなります。3はお店の規模や状況にもよりますが、防火対象物使用開始届は必要ですのでご注意ください。
なお、前提として接待は行わない普通のバーであると想定しています。
例えば、ガールズバーも接待を行わないのであれば①と②の2つでOKですが、そうでない場合は風俗営業許可等別の許可が必要となるためご注意ください。
ここでは、接待無しのバー(普通のバーや接待無しのガールズバー、接待無しのスナック)である前提で見ていきます。
上記2つの申請にあたっては、それぞれ要件があるため、1つずつ見ていきましょう。
飲食店営業許可申請をする
バーの開業にあたってまずやらなければならないのが飲食店営業許可申請です。
営業する場所を管轄する保健所と進めていくものです。
飲食店営業許可にあたっては、ザックリと以下の要件を満たす必要があります。
- 食品衛生責任者が居ること(対象の資格をお持ちであるか、なければ食品衛生責任者講習を受ければOK)
- 設備要件を満たすこと(衛生面や機器類がしっかりあるかどうか等)
- 飲食店の営業が制限される地域でないことを確認(用途地域)
申請にあたって必要な書類は以下です。
- 申請書
- 施設の構造・設備を示す図面(2通)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(国家資格か講習を受けた際の赤い手帳)
- 水質検査票(水道水がタンクからの供給等の場合)
- 申請手数料
- 法人の場合は法人番号か登記事項証明書
飲食店営業許可において、図面は内装屋さんあるいは不動産屋さんから提供されるものを流用して作ることが可能ですので、それほど難しいことはありません。
バーの開業にあたって大変なのは、次に記載する深夜酒類提供飲食店営業営業開始届です。
0時以降も営業するバーが大半なので深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書が必要
飲食店営業許可だけでもバーの開業は可能ですが、一部の地域を除き、0時までの営業となります。
基本的に夜の営業が求められる業態かと思いますので、ほぼすべてのバーが深夜酒類提供飲食店営業営業開始の届出書を提出しているかと思います。
まず、要件について記載します。
- 飲食店営業許可を取得している
- 開業地の用途地域が問題ないこと
- 施設の構造が基準を満たしていること
- 風俗営業許可が必要となる営業・業態(接待等)でないこと
- 深夜営業の10日前までに届出をする必要がある(深夜営業届出する前までは0時までに閉店すれば大丈夫です)
この届出にあたっての作業の全体像は以下となります。
- 警察署と相談(警察署・地域によりルールや基準が大きく異なるため事前確認必須)
- 施設基準の確認(内装のやり直しになることがあるので注意)
- 届出書・営業の方法に関する資料の作成
- 測量・図面作成(周辺図・平面図・求積図・音響照明設備図等)
- 警察署へ書類の提出
上記の中で注意が必要なのは、用途地域の確認と施設の計測を含む図面の作成、施設基準の確認、営業の形態(接待の有無)です。
開業する場所の用地地域を確認する
飲食店営業許可の項目でも記載しましたが、用途地域は事前に確認するようにしてください。
基本的に商業地域で開業される方が大半かと思いますが、たまに住居エリアというケースもあり、注意が必要な場合もあるためです。
以下に該当する場合、開業が厳しいことが想定されますのでご注意ください。
- 第1種低層住宅専用地域
- 第2種低層住宅専用地域
- 第1種中高層住宅専用地域
- 第2種中高層住宅専用地域
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 工業専用地域
逆を言えば、以下がバーが開業できるエリアです。
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 工業地域
- 準工業地域
内装屋さんに工事を依頼する前に基準をクリアしているかチェックすべき
冒頭にも記載しましたが、施設基準が満たせていないとどうやっても申請が通らないので注意が必要な部分となります。
照明装置もスライダックス形式ではなく、通常のスイッチにする必要がある場合も多いため(スライダックスでも真っ暗にならなければ大丈夫な場合はあります)、いろいろと注意する必要があります。
以下が店舗構造・設備で主な注意すべき事項となります。
- 客室床面積9.5㎡以上(客室2室以上ある場合)
- 内部に見通しを妨げる物がないこと。
- 写真や広告物、装飾品において、風俗環境を害するようなものでないこと
- 客室の出入り口に施錠設備を設けていないこと
- 営業所の照度が20ルクス以下とならないこと
図面の作成で求められるものが地域により異なることに注意
警察署のHPを見ると、提出図面は平面図としか書かれていないのですが、それだけで受け付けてくれる警察署は無いと思われます。
ほとんどのケースで平面図、求積図、音響設備図、照明設備図が求められるかと思います。
また、図面にどこまでの情報の記載が求められるかが警察署により異なるため注意が必要です。
接待の有無については慎重に確認を
普通のバーであれば問題ないのですが、いわゆる「ガールズバー」と呼ばれるようなお店の場合、接待に該当する行為が行われているとして、摘発されるケースが多くなっています。
接待に該当する行為とは、風営法では「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と記載されています。
わかりやすい例としては、女性キャストが男性客の横に座り、お酌をし、楽しく話をし、男性もそれ自体を楽しみに来店しているケースです。キャバクラやホストをイメージしていただければよいかと思います。
では、ガールズバーのようにカウンター越しであれば接待にあたらないかといえばそうとは限りません。
単にお酌をしたり、水割りを作ったりする行為は必ずしも接待にはあたりませんが、お客様の近くで継続して談笑の相手になるような行為や飲食物を提供する行為は接待にあたる可能性があります。
そのため、営業形態によっては注意が必要です。上記に記載したように、接待等を行うようなバーであれば、風俗営業許可が必要です。
普通のバーのように、店員と顧客が日常会話をする程度であれば、深夜酒類提供飲食店営業の届出で問題ないかと思います。微妙な場合も含めてご相談ください。
忘れがちなのは消防関係の届出等
防火対象物使用開始届や防火管理者専任届出など、消防関係の届出を行わないケースは結構多い印象です。
消防関係の書類の作成・提出もサポートしておりますので、ご相談ください。
バー開業までの手続きの流れ全体像と必要書類一覧の整理
バーを開業するにあたり、全体の流れを今一度整理してみましょう。
全体の流れ
- 飲食店営業許可申請をする(保健所)
- 保健所の実地検査
- 飲食店営業許可取得(この時点で深夜以外の部分は開業は一応可能です)
- 消防関係(営業の前)
- 深夜酒類提供飲食店営業営業開始届を提出する(警察署)
- 10日経過後深夜の営業が開始可能(東京都の場合現在は特に届出済証とかはありません)
深夜酒類提供飲食店営業営業開始届を提出するにあたって必要となる書類の一覧です。
- 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
- 営業の方法
- 営業所周辺地図(地図作成にあたっては著作権違反にご注意ください)
- 物件契約書のコピー
- 使用承諾書(場合による)
- 営業所平面図
- 営業所・客室求積図
- 音響・照明設備図
- 誓約書
- 飲食店営業許可証のコピー
- 住民票
- 履歴事項全部証明書と定款コピー(法人の場合)
- その他地域・警察署ごとに独自に求められる書類
この他にもメニュー表等もご用意いただく場合があります。
バーにダーツやシミュレーションゴルフを設置する場合は特別な許可や届出はいるのか?
ゲーム機や遊技機をバーに設置する場合、風俗営業5号の許可が求められます(客室の面積の10%超える場合)。
ただ、デジタルダーツやシミュレーションゴルフは現在許可なしで設置できるようになっています(あくまでお客様が楽しむのであり、店員と勝負できるなどのイベントが行われる場合は別です)。
この場合において、目視や監視カメラで営業者が客の状況を確認できることと、デジタルダーツとは別の遊技機が同じ営業所内にないことが条件となります。
いわゆるカジノバー的なものは、今回解説している内容とはまた違う手続きになるのでご注意ください。
バーの開業の許可や届出などの手続きでお困りであれば行政書士にご相談ください
アロー行政書士事務所ではバーを含めて東京都のお酒を提供する飲食店の開業に伴った行政手続きのサポートを行っています。
立川市に所在しているため、東京23区はもちろんですが、立川市、国立市、昭島市、日野市、八王子市、町田市、福生市、青梅市など多摩地域での活動に強みがあります。
バーの開業でお困りであれば気軽にご相談ください。
店内をドローン撮影するサービスも行っています
アロー行政書士事務所は飲食店関連の許可手続きの他、ドローンに関する申請も行っています。
私自身ドローンを飛行させることもあり、たまに撮影をしたりもするので、もし店内ドローン撮影したいとかあればお知らせください。
※映像専門家ではないのでそれ単体では受けておりません。
※機体の状況によりお受けできない場合があります。
バー開業の手続きはぜひご相談いただければと思います。